Apple社の創業で有名なスティーブ・ジョブズ。
彼がスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチの中に、こんな言葉があります。
「私は毎朝鏡を見て、”今日が人生最後の日なら、今日やろうとしていることを本当にやるか?”と問うのです。」
「その答えに何日も”No”が続くなら、何かを変える必要があると気付きます。」
これは死を意識することを活用し、自分が本当にやりたいことを実行すべきという一つのライフハックですね。
いつか死ぬ我々人間にとって、死への意識は強力な武器です。
今回はジョブズの例のように、死を活用したライフハック術を紹介します。
人類最大の発明、「死」
人種や貧富に関わらず、全ての人はいつか必ず死にます。
死ぬことを想像するのは決して心地よいものではないかもしれません。
ですが、もし明日自分が死ぬとわかっていたら、今日この日をなんとなく過ごして終える方はいないのではないでしょうか。
例えば会社員が明日の死を宣告された場合、いつもと同じように電車に乗って通勤をする方はいないでしょう。
いくら大事なプレゼンや会議の予定があっても、そんなの知ったことかと跳ね除ける力が沸くはずです。
死は、世間的な役割や声を振り払い、自分の本来的な生き方に立ち返る切り札になります。
死について研究した哲学者ハイデガーによると、死がこのような力を持つのは、以下のような要素があるからだといいます。
- 自分は必ず死ぬ。
- 死んだらその後はなく、全て終わり。
- 自分が死ねばどんな人とも、どんな事象とも無関係になる。
- 自分の死は誰かに代わってもらうことができない。
上記の要素は確かに納得でき、これらよって死は強い力を持っていますが、実際は多くの人がその力を活用できていません。
それは自分に死がいつ訪れるかを明確に知れるケースは稀で、多くの人はそれがいつかわからないことが大きな要因です。
ライフハック術
死の持つ大きな力を活用するには、それが”いつか起こること”ではなく、”必ず起こる身近なこと”として自分に再インストールすることが重要です。
では実際に、どうやってそれを実践するのか、いくつかのライフハックを紹介します。
「もし明日が最期の日なら」と自問する習慣をもつ
冒頭で紹介したジョブズと同じライフハックです。
毎朝、鏡の前で「もし明日が最期の日なら、今日は何をするだろう?」と自分に問いかけてください。
この質問は、自分の価値観や本当に大切にしたいことを浮き彫りにします。
ポイントは、よりリアルに死を想像することです。なんとなくそう問うだけの習慣では、効果が少し薄れてしまいます。
そして「今日やるべきこと」が本心に合っていないと感じたら、生活の中で何かを少しづつ確実に、調整を始めましょう。
毎年”余命一年”になる
毎年、自分の余命があと一年だとしたら、今年は何をしようかと考えるライフハックです。
前に紹介したハックの一年版。
一年の余命を設定することで、より中期的な視野で思考することができます。
一日単位では日常の改善ですが、一年では計画が加わります。
ここでもポイントは、次の年があるとは思わず、本当に一年で死ぬならとリアルに想像することです。
これを実践することで、人生における優先順位が明確になり、やりたいことの先延ばしも減ることが期待できます。
デスノートを書く
誰かの名前を書くのではありません。
これは自分の死について考え、理解するために有効なツールです。
一冊のノートに、次のようなことを書き出してみるのです。
- 自分の死についての考え
- 人生で大切にしたいことと、その優先順位
- どのような最期を迎えたいか
- 最期の瞬間は、どんなことを考え、どんな感情でいたいか
- 後悔していることは何か
- 謝りたい人、感謝したい人へのメッセージ
もちろんその他に自由な記述を書き加えてもかまいません。誰にも見せる必要もありません。
他の誰でもなく、”ここにいる自分だけの死”として向き合うことで、日常の生にも向き合うことができます。
これは前の一年余命のライフハックと併用しても効果的でしょう。
さいごに
死を活用したライフハックの紹介でしたがいかがでしたでしょうか。
こうしたライフハック以外に、死についての書籍を読んだり、墓地や終末医療の現場を訪れたりといったことも、死を身近なものとして捉えるために有効です。
死について触れる機会を増やすことが重要です。
あまりにも死について考えすぎて疲れない程度に、良い側面だけを抽出し健全な自分の生を全うできるようコントロールしていきましょう。