不安。
ふとした時、何かを見聞きした時、夜ベッドの中に入った時、それは襲ってきます。
その大きさや形も様々です。
一見ネガティブな感情に思える不安ですが、その正体を理解し、適切に対処すれば、不安の本来の姿である”自分の味方”として付き合えるようになります。
人はなぜ不安になるのか
不安とは、未知の脅威を予測する感情です。
この予測システムは私たちが進化の過程で身につけた生存のためのメカニズムです。
かつての人類は、天敵や食料不足といった生命の危機に直面する中で、不安を感じることで注意を高め、危機を回避してきました。
不安という予測システムが、何か悪いことが起こる前に作動し「気をつけろ、命を守れ」とアラートを出すことで、人類はこれまで命を繋いでこれました。
この太古の暮らしで役立っていた予測システムは、命の危機にさらされることが少なくなった現代でも変わらず機能してしまっていて、今も私たちの心に影響を与え続けています。
仕事や家庭、人間関係など、生存を脅かすわけでもない日々のストレスが、新たな形で不安を引き起こし続けてしまっています。
つまり本来不安に感じる必要のないことに対しても、無駄に不安を感じることが多いのが現状です。
現代に生きる私たちにとって、不安という予測システムは必要以上に作動してしまっている。
不安の正体、3大要素
不安を必要以上に感じる現代において、私たちが不安と程よく付き合っていくには、第一段階として不安に対する理解を深めることが大切です。
あらゆる不安の根底には、いくつかの共通した要素があり、その正体を次の3つに分類できます。
不安の正体①:未来
不安の多くは、まだ起きていない未来に対するものです。
「このままでは仕事がうまくいかないのではないか」「健康に問題が出るかもしれない」など、未来に対する漠然とした恐れが私たちを悩ませます。
このような不安は、予測できないことやコントロールできない状況に直面する際に特に強まります。
実際には未来に関する不安事の9割以上は、実際には起こらないという研究結果があります。
もし起こっても、想像していたより大した問題ではなかったり、対処可能なものがほとんどです。
不安の正体②:執着
執着とは、何かを失いたくない、手放したくないという強い思いです。
例えば、現在の地位や人間関係、所有物への執着が不安を生む要因となります。
「今の状態が崩れるかもしれない」という思いが頭を離れないと、不安はより深刻になります。
物や財産、人間関係は自分と固定の関係性だと捉えると、それが執着に繋がります。
あらゆる関係性とは、より柔軟で、今はたまたま引力のように引かれあっているだけのものであるという理解が大切です。
不安の正体③:期待
意外に思われるかもしれませんが、期待も不安の原因となります。
高い目標や他者に対する期待が裏切られる可能性を考えだすと、それが不安を生み出します。
「こうあるべきだ」「こうなってほしい」という理想が現実とずれると、ストレスを抱えてしまうからです。
特に他者に対する期待はする側、される側、両者にとってあまりメリットがありません。
理想と現実を比較するのではなく、現実をあるがままに受け入れる柔軟さを持つことが理想的です。
以上が不安の正体3大要素です。
もし不安を感じたときには、その正体がどれに当てはまるのかを見極めてみてください。
不安には”未来”、”執着”、”不安”という3つの正体がある。
不安を和らげる方法
実際には不安の正体を見極めても、不安という予測システムが備わっている以上、不安を完全になくすことはできません。
しかし日々の生活の中でその影響を和らげる方法があり、いくつか紹介します。
深呼吸や瞑想
呼吸を整えることで、自律神経が整い心を落ち着けることができます。
瞑想は特に、思考を整理し、今この瞬間に集中する助けとなります。
また意識を未来から今に向けることそのものが、未来という不安を取り払うことに繋がります。
運動
運動はストレスホルモンを減少させ、気分を高めるエンドルフィンを増加させます。
そして体を動かしている時間が、脳内で思考し続けることから目を反らしてくれます。
実際に運動を習慣付けると、常にポジティブなマインドをキープでき、効果は抜群です。
ポジティブな感情の時間を増やす
感謝の気持ちを日記に書く、趣味に没頭するなど、単純に気分が前向きになる活動の時間を増やします。
好きな音楽を聴いたり、好きなアーティストの映像を見るのも有効でしょう。
とりあえず不安を察知したらすぐに音楽をかける、という条件反射的なルーティンを作ると心強くなります。
簡単な例を紹介しました。
他にも、特に女性に有効な方法として、誰かに不安を相談する。といった例もあります。
是非自分なりの対処法を探してみてください。
不安への対処には”呼吸”、”運動”、”ポジティブな活動”を行う。
さいごに ~不安と正しく向き合う~
不安は誰もが感じる自然な感情です。
本来不安は敵ではなく、味方であるという理解も欠かしてはいけません。
その正体を理解し、適切に対処することで、不安に振り回されるのではなく、自分自身の一部として受け入れることができます。
不安をコントロールする力を身につければ、一生あなたの役に立つはずです。
まずは不安を感じた時に、「あ、今不安感じてるな」と察知する練習から始めてみてはいかがでしょうか。